青色は正義。

青か、青以外か。

パイロット: レガンス89s ~ショートサイズ・嵌合式・金ペンの三拍子揃ったマーブルブルー万年筆

最初の万年筆を買った3日後、池袋の伊東屋に行ったらひときわ青いマーブル模様の万年筆が目に留まった。その様子を逃さない店員さんが「これ、廃盤でもうないんです」。

そういった訳でやってきたのがパイロットのレガンス89s。全長120ミリ、軸径12ミリ、重さ16ミリのショートタイプ万年筆。ペン先は14金、私が初めて買った金ペンでもある。それにしてもM205に続いて小さい万年筆を買ってしまったのは、もう完全に見た目に一目惚れだから仕方がない。

パイロット レガンス89s

プロピオネイト樹脂のマーブル模様が美しい。イタリア産万年筆にも劣らない外見で(というよりもこの樹脂がイタリア産らしいが)、当時マーブル模様にかぶれていた私にはどストライク。最初の1本にアウロラオプティマを選ぶか真剣に悩んでいた私が、これ以降すっかりオプティマを欲しいと思わなくさせたぐらいの美しさ。

M5サイズ(アシュフォードのシャルトル)との比較。

全長120ミリはマイクロ5サイズのシステム手帳にぴったり。それでいて嵌合式なのでねじ式に比べてすぐ書き始められるので、実用面からも小さい手帳と一緒に連れていくのに好適。

嵌合式・ショートサイズ・金ペンの3要素を揃える万年筆はたぶん貴重だと思う。これに加えて青軸となるともうほとんどないのではないか。ショートサイズで嵌合式だとプレラとかカクノとかがあるけど、このぐらいのサイズ感の万年筆がエントリーモデルばかりなのは一体なぜなのか。

セーラーのプロギアスリム(左)との比較。

同じぐらいのサイズのセーラー万年筆プロギアスリムよりも一回り小さい。キャップもわずかに細いので、ペン差しが大き目の手帳なら軸を差し込める可能性が出てくる。

色は黒、青、赤、グレー。字幅はF/M。肝心の書き味であるが、後に買ったプロギアスリムミニに比べると幾分インクの出が安定しないなという印象があって実はあまり好きではない。色彩雫の月夜を入れていたらCDノートもノーブルノートでも馬鹿みたいに滲むのもこのペンの使用頻度を遠ざけていた要因なのだが、インクをパイロット以外にしたらそんなことも無くなったので、たぶん悪かったのはインクのほうであるが、それでも次にパイロットを買うのは約2年半後のキャップレスデシモまで待たなくてはならない。

こないだ(2022年11月)京橋のモリイチに行ったらまだ黒がいた。新宿の京王百貨店丸善の文具売り場のセール(2022年8月)のときも見かけた記憶がある。今はなき池袋の丸善でも割と最後まで黒が生き残っていたように思う。

2018年のカタログで廃盤の表記。M5サイズの手帳が廃盤当時に比べるとずいぶんと人口に膾炙していることを考えると、今定番品として出回っていたらそれなりの人気を博したと思う。89sということは89周年の2007年頃の発売と思われ、時代を先取りしすぎていたのかもしれない。