青色は正義。

青か、青以外か。

青色をめぐる風景: 時を超えるイヴ・クラインの想像力@金沢21世紀美術館

のとじま水族館に行った翌日に、金沢21世紀美術館の「時を超えるイヴ・クラインの想像力――不確かさと非物質的なるもの」を観に行った。

青一色のアートを作るイヴ・クラインという芸術家がいる、ということを知ったのは2020年の冬、カランダッシュイヴ・クラインコレクションだった。このシリーズの849が私が初めて買った849になったのだが、肝心のクラインの作品のほうに今まで興味がなかった。

《無題(青のモノクローム)》(IKB4)

2022年になって美術館などに行くようになり、そこでちょうどイヴ・クラインの展覧会が金沢であることを知り、直感的に「これは金沢まで行くしかない」と思ったのである。

 

展覧会は期待通り青かった。しかし「青」は彼のアートの1つの要素に過ぎないということもわかった(思っていたより色々なことをやっていた)。ただ、彼が目指すものを可視化するうえで最も重要な手段であったことに間違いはない。

上部:《青い雨》下部:《ピュア・ブルー・ピグメント》

イヴ・クライン以外の作品も展示。ハルーン・ミルザの《青111》は、昨日の「青の世界」に劣らない青さ。青い光と、111ヘルツの音と、これらを可視化する僅かな水だけで満ちた部屋に立っていると、空っぽのもので体内を満たされそうになる。

ハルーン・ミルザ《青111》

「空虚」がテーマのセクションでは、私の大好きな画家ヴィルヘルム・ハマスホイの室内画に通ずるものがある気がした。ハマスホイのそれは室内という外界から閉ざされた空虚であるのに対し、ここで展示されているものは無限の外界に向かった空虚と言うべきものである。しかし、クラインが58年に行った「空虚展」はハマスホイの無人の室内画を、現実の世界で再現したものと言えなくもないだろうか、とも思ったりする。